実際に地方で活躍するフリーランスの具体例

ここでは、地方で働くということを現実的に受け止めやすいように、実際の事例を挙げてみようと思う。
以前、地方の工専を卒業後独学でプログラミングを学び、IT企業でシステムエンジニアとして働いていた人がいた。だが、通勤が困難な田舎に住む母親の介護のため退職せざるを得なくなった。自己都合退職の辞表を提出すると、上司は出勤日を減らしてもよいから留まって欲しいと言って引き止めたようだが断って退職したらしい。毎日出勤して働いている同僚たちに申し訳ないと思ったからである。
すると、上司からフリーランスとして会社と契約し仕事を続けて欲しいと提案されたのだ。この提案を受け入れて雇用契約を解消し、委任契約を締結してフリーランスとして働くことになった。

仕事と言えば、会社から依頼されるプログラムを自宅で製作し、完成したらネットを通じて会社へ送付するだけで足りるのだ。介護と仕事を両立させることができ、これまでと変わらない収入も得られることになり、厚生年金や雇用保険などの保障が減ったほかは特に不自由を感じなかったようだ。地域との繋がりも復活し、高齢者が多い田舎でITに詳しい者がいない状況で、パソコンや携帯電話の使用方法を教えたり、ITを利用した動体感知システムのチェックのお手伝いをしたりして近隣から感謝されるようになったと言う。
動体感知システムとは、一人暮らしのお年寄りが家の中で移動する動きを感知して遠隔地の家族に知らせるもので、高齢者の安否を気遣う家族が設定することが多いのだとか。
今では、フリーランスとして田舎で生活しながら地元の住民に貢献できる毎日を送り、地方で活躍できる実感を得ているそうだ。

都会でバリバリ最先端に立って働くのもいいが、地方でのこういう働き方も悪くないだろう。